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夜7時…この時間が、私は大嫌い。あの時、その時間の鐘が鳴り続けていたから。ここからは夜が来る…怖い夜が。また、太陽の遠い時間が始まる。
「…っ」 来た。身体が硬直する…もう音の鳴る時計は置いていないのに、身体が勝手に時間を思い出す。パパが、ママが、おじいちゃんが、おばあちゃんが、おじさんが、おばさんが。皆いなくなってしまったあの日のあの時間に、まず身体が放り出される。そして、真っ白だった心も遅れて投げ込まれる。私の全部はばらばらにされて、拾い集めるまで身動きも取れず言葉も出せずにそうしているしかない。 あらかじめ部屋に鍵をかけて座り込んでいるから、最初の頃のように倒れたり誰かに見られて慌てさせたりはしないで済む。それに、最近は少しだけ意識を残して考える事が出来るようになってきた…少しずつ慣れて来てるんだとは思う。そうでなくちゃいけない、いつまでもこんなじゃ弟達の面倒なんて見れやしないんだから。 …でも。あの夜の顔に塗り潰されて、パパとママのちゃんとした顔がまだ思い出せない。このまま慣れきってしまったら…あの時のひどい顔を忘れたら、思い出せないままの顔まで一緒に連れてかれそうな気がして、怖くてたまらない。 みんなはどんな顔で笑ってたっけ…絶対に思い出さなくちゃいけない、いつか忘れちゃう前に。 PR |
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